『カカシの夏休み』 重松清

 

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あっという間に夏休みも半分が過ぎましたね。東京も36度と、夏らしい日差しが照りつける昨日、今日です。





夏期講習期間中、私たちのような塾講師は海、山へ出かけられませんので、本音では、“冷夏大歓迎” ですが(笑)、暑くないと気分が出ないのも事実でして…。お盆に帰省している人はたっぷり夏のふるさとを満喫していることでしょうね。



当然、受験生は勉強一本!ですが、そうでない生徒にはたくさん、本当にたくさん本を読んで欲しい。



子どもが読んで感動できて、しかも中学入試にも、公立高校入試にも出る、そんな作家のナンバー1はやっぱり、重松清氏でしょうか。氏の作品は、小説では 『ナイフ』 と、教育論では 『みんなのなやみ』 をこのブログで取り上げました。





参考までに…



        公立高校で出される作家・作品ランキング







氏は私と同年代なので、きっと問題意識が似ているのでしょう、特に教育問題に関しては、本質を突いてくる、そんな印象の作品が多いと感じます。





なぜ入試に出るのか。また、なぜ入試に出る作品や作家が集中する傾向にあるのか。それは 『秘伝 中学入試読解法 (石原千秋 著)』 を読むとはっきりわかります。やはり、学校というものの求める生徒像、とその思考回路は案外一定です。





さて、その重松氏の夏らしい一冊です。本書は三編を収録しています。





まず表題作である、“カカシの夏休み”。故郷をダム建設のためになくした同級生が、一人の死によって再会し、家庭、仕事、人生を考える話です。主人公は37歳、職業は教師です。



そして、次の “ライオン先生” も高校の教員の話。ドラマになっていますので、ご存知の方も多いでしょう。ユーモアもあり、印象的です。



最後の “未来” はいじめと自殺に関する切ないストーリー。きっと重松氏がもっとも心を砕いて描いたのだと思います。自殺した生徒の遺書により、その加害者とされてしまった生徒の家庭、その葛藤について描いた内容です。





いずれも教育、家族、生きることをテーマにしたものですが、重苦しい感じではなく、むしろすがすがしさを感じます。日常から離れた夏休み、生徒たちに味わって読んでもらいたい一冊です。



読書感想文にもしやすいと思います。







P.S. 受験生諸君は先生たちと教室にこもって勉強!休み中のいろいろな体験が子どもを成長させますが、何年かに一度だけ、勉強漬けの夏、読書漬けの夏も、子どもを大きく、とっても大きく成長させます。







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カカシの夏休み (文春文庫)

            重松 清

            文藝春秋

            

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