『謎の哲学者ピュタゴラス』 左近司祥子
三平方の定理で知られる数学者 “ピタゴラス(本書ではピュタゴラス)” ですが、本当に三平方の定理を生み出したのが彼であるという文献は全く残っていません。自分では何も書物を残していないのです。
ピュタゴラスだけでなく、そもそも歴史上の偉人といわれる、同じギリシャのソクラテス、中国の孔子や孟子、さらにキリストや釈迦も弟子の書いたものしか残っていません。
書けなかったわけではありません。同時代やその前の時代の書物は残っていますから、謎です。
とりわけピュタゴラスは紀元前6世紀という大昔であることと、謎の新興宗教のようなものを作って活動を続け、最後は焼き殺されてしまうという事態に追い込まれてしまったため、いっそう不可解な人物と言えます。『万物は数字である』という思想を持って活動をしたことはわかっています。
筆者は乏しい文献にあたりながら、ピュタゴラスがその後の哲学者達に与えた影響などについて考察をします。ピュタゴラスはその後の思想の“地下水脈”とまで言っています。
他にもソクラテス、プラトン、アリストテレス、プロティノスの思想を紹介します。
目次は以下のとおりです。
第1章 ギリシャでいちばんユニークだった哲学者(古代ギリシャの哲学者群;エンペドクレスの活躍 ほか)
第2章 同時代人の見たピュタゴラス(ピュタゴラスと「ピュタゴラスの定理」;同時代人の証言 ほか)
第3章 ピュタゴラスをソクラテスに語らせるプラトン(プラトンの描くソクラテスの変節;ピュタゴラス的言葉を使って語るソクラテス ほか)
第4章 アリストテレスが映した奇行と奇妙な戒律(アリストテレスとピュタゴラス;プラトン説に反論するアリストテレス ほか)
第5章 思考の地下水脈となったピュタゴラス(プラトンからプロティノスへ;プロティノスの魂論 ほか)
数学と哲学と宗教が一つになっていた時代。学問はやはり命がけですね。受験生諸君!命がけの勉強、読んでみて下さい。
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