『戦争論争戦』 田原総一朗vs小林よしのり



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米国の原爆投下を「しょうがない」と発言し、厳しい批判を受けていた久間防衛相が辞任しましたね。被爆者だけでなく、国民感情を考えても、久間氏の発言が極めて不適切なのは自明です。しかも被爆地、長崎県選出の政治家だというのですから。





ただ、原爆は「しょうがない」どころか、断固「許せない」として…、日本政府がこれまでアメリカの原爆投下に対して謝罪や賠償をあらためて求めるとか、あるいは久間氏とは逆に、あからさまに原爆投下を非難するという行動を取った大臣がいるのでしょうか。



久間氏の発言は現役大臣でもあり大問題ですが、日本のこれまでの態度は、政府自体もそう考えていると思われても仕方ないのではないかという気がするのですが。



よく指摘されるように、広島の原爆記念碑には 「安らかに眠って下さい/過ちは繰返しませぬから」 とあります。インドのパール博士がこれを見て、「原爆を落としたのは日本ではない。アメリカだ」 と嘆いたというものです。



広島原爆記念碑.JPG





逆に日本軍の慰安婦問題では、当事国でもないのに、アメリカから日本政府に公式謝罪を求めた決議案が委員会で採択されましたね。どう見ても、日米が対等の関係とは言えない気がします。





さて、本書は著名なお二人の実に激しい戦争論です。少し前の本ですが、何度か読み返してみるたびに、新しい発見があります。



これまで田原総一朗氏の著作は、西部邁姜尚中氏との共著 『愛国心』 を、小林よしのり氏の著作では 『いわゆるA級戦犯』 をご紹介しました。



田原氏は1934年生まれで、小学生時代に終戦を迎えた世代。小林氏は1953年生まれで、団塊の世代のすこし下。年齢に20歳の開きがあります。双方とも強烈な愛国者ですが、第二次世界大戦に関する捕らえ方は全く異なっています。



二人とも大変な知識と説得力があり(当然ですね)、片方の発言部分を読んでいる時は、そちらに分があるように感じ、発言が変わればこちらも変わるという緊迫したやりとりが魅力です。



ノーガードの打ち合いというより、老練な田原氏が繰り出す直球、変化球を、小林氏が真正面から打ち返している印象です。そしてお互い、まだ話すのかと思えるほど、へとへとになりながらの論争が繰り広げられています。



サンデープロジェクト」や「朝まで生テレビ」 をご覧になっている方は田原氏の様子は想像できるかと思います。挑発したり、おだてたりですね。そういった番組が好きな人であれば、勉強になるしお互いの感情のぶつかり合いも楽しめます。お薦めの一冊です。 





P.S.それにしても、今回の防衛相辞任のニュース、そして本書。これらに触れると、安倍政権の標榜する 「戦後レジームからの新たな船出」 はそうそう容易ではないように感じた次第です。





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