『ほんとうの英語がわかる- 51の処方箋』 ロジャー・パルバース 



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講師や生徒のどちらにも薦められる英語の本というのは大変貴重だと思いますが、本書はそんな一冊です。



自分が英語を教える上で、参考になった本は数知れずあり、その中でもっとも印象深い一冊として、荒木博之氏の 『日本語が見えると英語も見える −新英語教育論』 をつい先日取り上げました。記事にしたばかりですから、繰り返しませんが、実にすばらしい観察、理論だと思います。





他にもどうご紹介したら読んでいただけるのだろうという本があるわけですが、荒木氏の本同様、やや専門的なので、英文科を目指すのならともかく、一般の受験生には薦められません。どうしても英語を学んでいる生徒より、教えている先生方にお読みいただきたいと思うものが多くなりますね。



私のgooブログの左、にある “カテゴリ” というところ。その中にある “英語一般書籍” とは、そんな本のことです。つまり、生徒が目標にしている受験とは直結していないけど、より広い意味で英語学習に参考になるという書籍です。



教師だけでなく、生徒が読んでもすんなり楽しめたり、役に立つもの。本書のように筆者が日本をよく知っている外国人である場合、そんなおもしろい本が多いように思います。



以前、取り上げました、デイビット・セインの 『その英語、ネイティブにはこう聞こえます』 もそんな一冊です (How are you? はネイティブには 『ごきげんいかがでござる』 と聞こえるのだそうです(笑)。) で抜群におもしろいのですが、本書の方がより本格的というか、楽しむというより勉強しましょうよ、と優しく語りかけているような内容です。





外国語習得の目的はさまざまです。受験に向けてひたすら文法から勉強するのも大切ですが、そのことばを話す人たちの心の中に入り込み、その人たちの考え方を深く理解する、ということも欠かすことができません。





私が英語を教えるのは、大学受験生ですし、そのためには現在、公教育で軽視されがちな英文法はとても大切だと思っています。ですからよく耳にする…





 “ I am a boy.”  とか “This is a pen.”  などという例文に対し



“どこの世界に、「私は少年だ」 とか、「これはペンです」、とあらためって言うか!”という批判には、与しません。これは先日取り上げた 『灘高キムタツの国立大学英語リーディング超難関大学編』 に掲載された私のコラムの中で、伝えたかったことです。



つまり、そもそも我々は、ネイティブではないので、ある程度、英語も、さまざまな文をもっとも抽象化した数学のようなものとして理解していった方が、大学受験の英語学習には有利だということです。大学に入っても英字新聞を読みたいのならそれが効率的だと考えています。



ただし、もちろんそれも程度問題で、コミュニケーションのツールとして英語を使うには、やはり机上の数学とは異なる、“現場” を知らないと役立ちません。この本では、そのような 「ネイティヴの発想」 を理解することを主眼に置き、とくに大切な51の単語について解説が進められています。



授業で “ネタ” になりそうな話題が数多く、読んでおけば必ず、授業でも、外国人と接する現場でも役立ちそうです。





以下のような単語です。





 I

 you

 to mind

 to recognize

 to offer

 to afford 

 company

 to owe

 to miss

 to interrupt

  God 
〔ほか〕 





どうでしょう。この単語群を見れば、大学受験の英語を教えている立場の人ならば、すぐに受験にも役立ちそうだと気付いていただけると思います。大学入試でさまざまなタイプの問題で頻出の単語が並んでいますね。



著者パルバース氏は劇作家や映画の仕事もされているそうで、例文、解説が面白く、しかも1冊で一つのストーリーという感じにまでなっています。もちろん辞書のように途中にある、気になる単語だけを読んでも勉強になります。





生徒も講師も、何回も読んでマスターしておきたい内容が詰まった本だと思いますので、多くの人に有益な一冊です。 





P.S. パルバース氏が本書を執筆していた当時のコメントをネットで見つけました。よろしければご覧下さい。



   ⇒ 『ほんとうの英語がわかる

 



ほんとうの英語がわかる―51の処方箋

                        

                        新潮社

                        

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