『新書365冊』 宮崎哲弥



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最近よくテレビで拝見する評論家、宮崎哲弥氏の書評を集めた一冊で、かなり売れているようです。確かにこれだけ新しい本を一堂に集めたものは、読書の参考にもなるでしょうし、本書を読むだけでもおもしろいです。雑誌『諸君』に連載していたものを、分野別にまとめたものです。



宮崎氏は月に新書を60冊〜100冊という膨大な読書量を誇るそうですが、読むだけでなくこうしてすべてを、“ベスト” “ベター” “モア”と “ワースト”を少し、にランク付けをし、講評まで書くというのは、いくら仕事とはいえすごい。





以前取り上げました日垣隆氏も大変な読書家で、『情報の目利きになる』 の中で、速読などについて触れていますが、その時でも話題になったのは、月30冊でした。新書とは書いてありませんが…。





さて、365冊の中身ですが、かなりバラエティーに富んでおり、↓のように分類されています。ただし、分野によって偏りは大きいと思います。





教養    哲学・論理学・数学   政治・国際問題   経済と金融・会計   法と自由   歴史・文学・ことば   社会・会社   若者・教育   犯罪と監視社会   

生きる・死ぬ   科学   脳・心・からだ   メディア   文化   宗教   問題な新書   





ところで宮崎さんという人物に対しては、どうも好悪がはっきり分かれる印象で、私はどちらかというと、(著作を読んだのはこれがはじめてですが)、氏がものをはっきり言うので好きなのですが、みなさんはどうでしょう。ネットではひどい悪口も目にします。



本書を読むと、宮崎氏自身も好き嫌いが激しいのではないかと感じます。365冊の中で私が読んでいたのは、数えてみると30冊ほどしかありませんでした。宗教などの分野が多いのですが、残念ながら私はほとんど宗教関連の新書は未読なので、仕方のないところです。



BESTの評価で、自分もそう感じたものが、『国際政治とは何か(中西寛)』 や 『日本の「ミドルパワー」外交(添谷芳秀)』 。また、世間一般よりもっとずっと高く評価したい仲正昌樹氏の著作、『不自由論』 や他書に、宮崎氏が高評価を与えていると、僭越にも、“おおちゃんと読んでるな” などと、うれしくなったりしますが、逆に、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか(山田真哉)』 などがベストに挙げられていると、“わかってんのかなぁ〜”と(笑)。





まぁそんな調子で評価が自分と一致しないものも多いのですが、それはそれで勉強になりますし、365冊もあれば、ほとんど書名程度しかないのかと思ったら、できる限り丁寧にコメントをしている印象で、好感が持てます。



いずれにしろ、どんなレベルになっても、読書とは“独断と偏見”(読書だけじゃないか)なんですね(笑)。





小谷野敦氏の『バカのための読書術』 を読みますと、“知識人という狭い業界” で、付き合いのある著者や著作に、はっきりと優劣を付けるのは難しいと感じますが、本書はどうなんでしょうね。私には、そこまでは判断できません。



そういう懸念や自分との違いなどがあったとしても、これだけの情報量は助かりました。じっくりお読みになって、自分の読書案内というか、参考にされたらいかがでしょうか。私も今後たびたび参考にすると思います。







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