『ことばはちからダ!現代文キーワード』 河合塾講師(牧野剛・吉田秀紀・前島良雄・三浦武・後藤禎典)

 

言葉は力だ.jpg



本来は大学受験国語、現代文の参考書ですが、受験生だけに読ませておくのはもったいない。受験に関係のない人にも広くお薦めしたい一冊でした。

石原千秋によれば大学入試の現代文の様変わりで、その特徴は、“近代批判”と“論理性” だそうです。そうした現代文におけるキーワードをいくつか取り上げ、その意味や使いかた、ちょっとしたテストを付けた内容になっています。


英語の成績においても、国語力は最後でモノを言いますが、国語力とはまず何よりも、言葉を正確にたくさん知っていること。もちろん読書が良いことは確かですが、たくさん読んでいても、ボキャブラリーが貧困な人もいます (お前のことだ!と言われそうですが、とりあえずそれは置いといて…)。

逆に本を読まない人でも、ニュースや新聞をチェックしている人、問題意識の高い人の方が自然と語彙が豊富になっています。


もう一つ、最近特に重要だなと感じるのが、論理性です。国語力なのか、数学的なものなのかは別にして、論理的な展開が読めたり、書けたりすることですね。特に英語は論理展開が重要なのですが、一定レベル以上になりますと、日本語に正しく訳しても理解できない生徒が出てきます。英語力ではなく国語力に問題ありです。

もちろんコミュニケーションの手段としての言葉も重要ですが、それ以上に我々は言葉で考えますから、思考における言葉の重要性もはかりしれません。知らない概念は考えようがありませんから。


例えば英語では、idea 一語でいけそうな、“概念” “観念” “理念” という日本語はやはり違ったニュアンス、または意味がありますし、“文明” と “文化” の違いもきちんと認識しておかなければ正確な読み取りは不可能になります。

本書はまず基本的な20語(中学生レベル)から始まり、それらの語の意味や文の中での使われ方、読解のポイントなどを指摘します。徐々にレベルアップし、最後は、カタカナ語(モチーフ・カタルシス・ロゴス・パトス・アンビヴァレントなど) も解説してあります。

単に語の解説だけでなく、ポストモダンという時代背景に即したさまざまな分野のキーワードが取り上げられており、非常に勉強になる一冊だと思います。国語の勉強としてというよりも、社会を知るという意味で、私の担当している高校生には英語の宿題としてでも読ませたいと感じます。


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 『ことばはちからダ!現代文キーワード』 河合塾講師(牧野剛・吉田秀紀・前島良雄・三浦武・後藤禎典)
河合出版:208P:861円