『がんばらない』 鎌田實

 

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おはようございます!



しばらくご無沙汰でした。お越しいただいた方、本当にすみません。久しぶりですが、すばらしい一冊をご紹介しますのでお許しを…。





著者の鎌田氏は若い頃にあえて長野の田舎にある赤字経営の病院に赴任したり、何年間もチェルノブイリに出かけたりする使命感あふれる医師です。看護学校の校長であり病院長になった今も、たゆまず理想の病院、医療を目指し邁進している人物。



時々、ラジオなどに出演されてお話を聞きますが、本当におだやかな話しっぷりで、きっと、病院で診てもらう患者さんも安心してすべてを委ねられる、そんな気にさせるような人柄だと感じます。



以前ご紹介しました 『医者 井戸を掘る』 の中村哲氏の “とにかく生きておれ、病気はあとで治す” という言葉も、アフガニスタンで奮闘する医師の現状を伝える印象深いものですが、本書の言葉も心にしみます。



書名 “がんばらない” はその病院内の壁に掲げられていることばです。





理想の病院とは?そう考え始めると簡単そうでなかなか答えが難しい。たいていの人は人生の終盤において、病院、そして、医師をはじめとするスタッフに、一時的にせよ自分の命を預けなければならないわけです。



ですから、この質問は自分の最期はどうありたいかという問いかけと等しいものになりますから易しくはないのです。



氏によれば、自分の病院に “がんばらない” と掲げていることについて、 “我々医者、看護婦ががんばりますから患者さんは自分のままでいて下さい”という意味だそうです。



本書の中で氏は理想の医療とは何かということを問いかけるため、身の回りの様々なストーリー(実話)を紹介しています。



患者と家族、医者、看護婦、そして病院、どの話も理想的な生き方、そして望ましい最期を描いていますし涙を禁じえないものばかりです。といっても、それらのストーリーに暗さはなく、鎌田氏の筆によって、おもしろおかしいエピソードが挿入され、幸福感、明るさに包まれています。





目次は以下のようなものです。





命を支えるということ



患者が来ない病院



ぼくが田舎医者になった理由



チェルノブイリ



がんばらない



医療が変わる



あなたはあなたのままでいい 



読者の年齢に関係なく読めます。さわやかな読後感を味わえる書物であると同時に、“自分や家族の通っている病院は?お医者さんは?”などと考えさせられてしまいます。



つまり、必然的に現代医療の問題点を浮き彫りにします。教育の対象が学力だけではないのと同様に、医療の対象は肉体や臓器だけではなく、患者の心だということを痛感させられます。医療分野へ進学を考えている生徒に限らず、ひとりでも多くの方に読んでいただきたいと思う一冊です。







P.S. タイミングが悪く、夏期講習会でみんなが頑張っている時に、この書名はどうかと気付いたのですが、感動的な一冊ですので…。



生徒諸君はもちろん精一杯 “がんばる” んですよ!













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P.S. 前回記事から久しぶりのUPになってしまいました。この間もご訪問いただいた方々、本当にありがとうございます。夏期講習はまだまだ続きますが、何とか時々はUPいたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。



            
がんばらない

            鎌田 實

            集英社

            

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