『武士道解題』 李登輝



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台湾の元総統、李登輝氏が来日しています。テレビなどではあまり詳しく背景などが報道されていないように思いますが…。



数年前、森首相時代に病気治療という名目でさえ来日させないという大騒ぎ、慶応大学の三田際で講演をするとしてまた大騒ぎしたことを覚えていますので、今回の来日がすんなり決まったことに意外な気がします。



氏はすでに80歳を越え、政界を引退していても、台湾独立のシンボルだそうですが、あれほど強硬に反対していた、中国の反応も今回は穏やかなものです。中国が変わったのか、日中関係が改善した結果なのでしょうか。





今回の訪日をアレンジしたのは、『中国暴発』 を古森義久氏と一緒に書いた、中嶋嶺雄氏だそうですが、その中で、“中国は北京オリンピックを放棄してでも台湾を取る” とあったのが、印象的です。数年前と、政治力学が明らかに変わったと実感します。ついでながら、中嶋氏は教育再生委員会のメンバーでもあります。



来日はしたものの、講演はおろか、母校、京都大学でキャンパスにすら入れずじまいだった時の対応から、今回は数回の講演だけでなく、李登輝氏の兄が祭られている靖国神社参拝まで話題になるというほどの変化です。





 閑(しずか)さや岩にしみ入る蝉(せみ)の声





誰もが知っている松尾芭蕉の句ですが、今回は芭蕉の足跡を訪ね歩くのが、主な目的だと言われていますね。台湾同様、日本が支配していた今の韓国で、親日派が相変わらず迫害されているのとは、際立った違いです。以前ご紹介した、渡部昇一呉善花氏の 『日本の驕慢(おごり)韓国の傲慢(たかぶり)』 を読むと、それを強く感じます。一方、日本・台湾の複雑な関係は『還ってきた台湾人日本兵(河崎真澄)』に象徴的に表わされているように思います。





本書は、新渡戸稲造著の『武士道』を李登輝氏が読み解くというものです。新渡戸氏が記した『武士道』に書かれた章に沿って、李登輝氏が氏の視点と豊富な知識、宗教、哲学的な考えも含め、分かりやすく解説しています。



目次はこのようになっています。







第1部
 日本的教育と私(世界に目を開いてくれた先哲の教え;新渡戸稲造との出会い;新渡戸稲造、国際人への旅立ち)



第2部
 『武士道』を読む(道徳体系としての武士道;武士道の淵源;義 ほか)



付 慶応大学三田祭・幻の講演原稿“日本人の精神”







花岡信昭氏のコラムによると、李登輝氏の自宅には、まるで図書館のような広い書庫が日本の書籍で埋まっているそうです。著名な作家や論客などの全集のたぐいは言うに及ばず、岩波文庫は全巻そろっていて、さらに新刊もダンボールに詰まっているほどだとか…。





“サムライ” にあこがれる外国人は多いようですが、武士道を理解し、それを日本の政治家や官僚にまで直言するする政治指導者は本当に稀有な存在だと思わされます。台湾総統時代の自らの体験を交えて、語っていて、より具体的な実践の術まで伝えようという意欲を感じます。



副題は 『ノーブレス・オブリージュとは』 。日本のリーダーに必要なものは武士道精神である、義務教育においても、日本を支える道徳教育が必要である、とも指摘しています。



本書に対して、石原慎太郎氏、櫻井よしこ氏、小林よしのり氏、金美齢氏などの識者が絶賛し推薦しているようです。この顔ぶれを見れば分かりますね。そうした人々を惹きつけるものは何か。しっかり知っておくことも重要だと思います。

 

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(すでに文庫化されていました)