『チョコレート工場の秘密』 ロアルド・ダール クェンティン・ブレイク(絵) 柳瀬尚紀(訳)



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偶然見つけた大変おもしろい一冊で、張り切って紹介しようと、ちょっと調べてみたら、そもそも大変な名作で、すでに40年以上も前、1964年に原作が出版され、71年には日本でも翻訳が出されていました。恥ずかしながら、本書の存在を知りませんでしたので、ちょっと驚き(汗)。





また 2005年に『チャーリーとチョコレート工場』 という題でアメリカで二度目の映画化までなされていて、日本でも公開されていた超有名作品でした。DVDにもなって、CDまでヒットしていたんですね(滝汗)。



今さら…とも思いましたが、まぁそれでも、私と同じように、知らない人もいるだろうからブログで取り上げようと決めて、アマゾンで入手できるかどうか確認しようと見てみると…、人気作品で書評は70以上もあって、みなが知る名作なのに、とにかく本書に対する評価が低くて、もう一度びっくり。





あれれ?どうしてなのかなと読んでみますと、本書の新しい訳者が書いたあとがきが原因でした。



私は旧訳を知らないので、何の違和感もなく楽しく読み進めましたし、もちろん訳者が違えば訳も変わるわけです。ただ、この新訳に変わった際に、ちょっとした改訳ではなく、有名で親しまれてきた旧版での登場人物の名前を変えてしまったそうなのです。



しかも、本書のあとがきで旧版の訳を痛烈に批判してしまったことが、これまでのファンの大きな反発にあっていました。





こんなこともあるんですね。そういういわく付きの一冊だということを知ってしまったので、紹介しようかどうか迷ったのですが、生徒にこういう語学の問題も含めて、翻訳書のことを考えてもらえば良いし、何より純粋に楽しめて、子どもたちが読んで読書感想文にもしやすい一冊ですので記事にしました。







ストーリー■〜■







主人公の少年チャーリーの住む家の近くには、世界一有名で、世界一不思議なワンカさんのチョコレート工場があります。とても大きな工場なのに、だれも働く人を見たことがない。ワンカさんさえ姿を消したまま。



まるで夢に出てくる魔法のように、その工場からは、すばらしいチョコレートが世界中に送り出されています。



ある日ワンカさんは新聞で、その秘密工場に世界で5人の子どもを招待すると発表します。もしそれに選ばれれば、ワンカさんの工場を見学できるだけでなく、一生分のチョコレートとキャンディーまでプレゼントするという企画です。



買ったチョコレートの中に、当たり券が入っているのですが、世界中でたった5人。そのチケットをめぐって大騒動になります。



チャーリーの家は極貧で、一年に一度、自分の誕生日しかチョコレートは買ってもらえませんから、絶望的な状況ですが、奇跡が起こり、チャーリーはそれに選ばれます。



当日、チャーリーは他の4人の親子と一緒にワンカさんの工場に行き、現実とは思えないようなできごとを次々と経験します。他の親子は欲張りだったり、わがままだったりしたために、それぞれがとんでもないトラブルに巻き込まれてしまいます。



ラストは…、お楽しみ。









まるで、花さかじいさんのように、正直者が報われ、強欲な人々は結局そのために墓穴を掘ってしまうというお話です。万国共通のテーマですが、本書ではそれぞれの子どもと親のキャラクターが強烈、個性的でおもしろく読めます。



単純な構図ではあっても、工場での突拍子もないできごとや、ブラックユーモアのような要素をふんだんに取り入れているところが人気の秘密でしょう。





上で述べたように、妙ないわくつきですが(笑)、大変おもしろい一冊ですからおススメです。









P.S. そういえば村上春樹が、意欲的に名著の翻訳に取り組み、『グレートギャツビー』 を訳した時に、“永遠の名作はあっても、永遠の名訳はない” という趣旨をあとがきで述べていました。



本書は児童書でありながら、あとがきで旧訳をののしってしまったということでした。たとえ、それが正義感、あるいは、語学上の正確さという観点から出されていたとしても、名作の新訳は難しいのですね。意外なところで勉強になった一冊でもありました。





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