『プロフェッショナル 広報戦略』 世耕弘成

 



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テレビ朝日サンデープロジェクトでは、7月に行われる参議院選挙はもう終盤戦だという見方を紹介していました。確かに6年前から選挙があることはわかっているわけですから、各政党は長期戦略を立て、それなりに怠りなく準備をしているはず。



(入試があることもわかっていると受験生にも聞かせたい!と強く思いましたよ(笑)。)



とは言うものの、突然、東京選挙区にアナウンサーの丸川珠代さんのような有名人が出馬ということになれば、あわてる陣営もあるでしょう。サッカーのカズ選手にまで声をかけていたんですね。



とにかく改選議員や政党にとっては、選挙結果がすべてですから、国政選挙ともなれば、党をあげて、あらん限りの資金と知恵を絞って必死の戦いが繰り広げられるわけです。言うまでもなく、広報はそのカギを握っていますね。





どなたかが本書を読み、“ここまで自民党の選挙戦略をあからさまに書いてしまっていいのだろうか” と感想を述べていました。つまり手の内を明かしてしまえば、民主党をはじめ野党を利するだけという心配をしたものですが、確かに、郵政解散前後の広報戦略が事細かに書かれています。



著者である世耕氏は自民党参議院議員。前回の総選挙で自民党大勝利へ貢献したと話題になりました。今回は非改選ですが、総裁派閥に所属していますし、広報としてたびたびテレビに出ていましたので、ご存知の方も多いでしょう。



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もともとNTTのサラリーマンとして広報を担当していましたし、米国ボストン大学でもコミュニケーション学部で、企業広報論の修士号を得ているくらいですから、広報に関しては、知識も現場経験もあるプロ中のプロですね。



まだ当選は2回という若手ですが、現在も、自民党と政府、両方の広報を担当するという重責を担っているようです。どのようにして、自民党選挙対策を立て実行し、選挙での大勝に結び付けたのかがわかります。





まことに失礼ながら、あの童顔からは想像できないほど、緻密な計算、冷徹な判断の元で選挙戦略が練られていたんですね。ニセメールにひっかかってしまった民主党とは対照的です。





よく、企業では当たり前のことが、役所ではまったくできていないと言われますが、政党の広報も、NTTなどの大企業に比べればとんでもなく無防備で、世耕氏によれば、それこそ国益すら失いかねない状況だったそうです。特に記者会見など…。



小泉総理はその天才的なコミュニケーション能力と、支持率の高さがあってこそ自民党は何とかなっていたというような分析です。森総理時代は大失敗(笑)。政党職員や政治家の長年のカンなどを頼りにしてこれまで広報戦略を立てていたところに、学問的な知見や詳しいデータ分析などの手法を取り入れて、ひとつひとつ実行していくさまが描かれています。





確かにすべてがケーススタディーのように具体的に書かれており、上でご紹介したような心配も的外れだとは思いませんが、世耕氏は本書をビジネス書ととらえ、なるべく多くの人に役立つような一冊にしたかったという印象です。

政治的な読み物としても楽しめますし、広報というものを知りたいという人にも、ヒントになりそうな事例がたくさんあります。平易な言葉で書かれていますので、興味があれば高校生でも十分に読めます。選挙権が18歳以上となる前に手にとってみてはどうでしょう。







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