『茶色の朝』 フランク・パヴロフ著 高橋 哲哉【メッセージ】・藤本 一勇【訳】



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今日はフランス大統領選挙の決戦投票です。保守系サルコジ氏有利と報道されていますが、結果がわかるのはもう少し先。第一回の投票の結果、今日の決選投票に進んだのは、上位二人ですから、サルコジさんと、女性候補社会党のロワイヤルさん。





サルコジ国民運動連合) 11,448,663  (31.18%)



2 ロワイヤル(社会党)    9,500,112  (25.87%)



3 バイル(仏民主連合)    6,820,119  (18.57%)



4 ルペン(国民戦線)    3,834,530  (10.44%)





討論会の映像を見ましたが、ものすごい迫力でした。特にロワイヤル氏。女性警官が暴行を受けたことに対し、政権側のサルコジ氏に対し、興奮して、治安の問題を突きつけていました。一発逆転を狙って、必死の形相でした。





さらに、スーダンで虐殺が行われていることに関して、そこで油田開発を進めている中国を猛烈に批判し、北京オリンピックボイコットまでほのめかす。フランスという国柄は “大国に屈しない” 強いリーダーを求めると 『 官僚病の起源 』 の中で岸田秀氏が指摘していましたが、その通りでした。





前回のフランス大統領選挙は2002年、シラク現首相が勝ちましたが、その時の相手がルペン候補。今回の第一回大統領選挙にも立候補し、結果は4位。前回は社会党候補を破っての2位だったわけですが、5年前のその投票結果にはフランスどころか世界中に衝撃が走りました。その理由は、ルペン氏は極右政党の所属だったからです。





  当時のフランス大統領選挙解説 ⇒ All About 『フランス政治事情』







政権をとるために、国民戦線と手を結ぼうとした保守系の人々に反対して出されたのが本書ですが、前回大統領選直後から爆発的に売れたのでした。





こんな内容です。





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主人公はある日、突然、友だちから、自分の黒色のラブラドールを安楽死させた、と言われます。主人公自身も白地に黒のぶちが入った猫を処分していました。それは毛が茶色以外の犬猫を飼ってはならないという法律を政府がつくったから。



そのうちに自警団まで組織され、毒入り団子が無料配布され、この法律を批判する新聞が廃刊に追い込まれます。



それでものんきに、茶色に染まることに違和感を感じなくなっていき、お互い自分からすすんで飼いはじめた茶色の犬と猫とを見せあいながら、二人は笑って過ごしていました。



流れに逆らわずにいれば、茶色に守られた安心も悪くないと。ところが、「快適な時間」を過ごしていたはずの彼らに、突然「国家反逆罪」のレッテルが張られてしまいます。



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筆者はフランスの心理学者です。冷戦後、ヨーロッパではいわゆる極右の政党が人気を集めました。フランスの国民戦線だけでなく、ドイツのネオナチオーストリア自由党なども一時はかなり日本でも報道されました。フランスでは茶色はナチスを連想するそうです。





それに危機感をつのらせたパヴロフ氏が本書を書きましたが、日本向けに絵と高橋哲哉氏のメッセージが付いたものです。驚くことに、小学生でも読める絵本に仕上げてしまったのです。



今回のフランス大統領選、一回目の投票率は、なんと83.7%!ですよ。この背景には、前回、投票率が低く、そのことでルペン氏を決選投票に進出させてしまったという恐怖感があったそうです。





全体主義を描いた、ジョージ・オーウェルの 『 動物農場 』 は非常にすばらしい作品だと思いますが、本書のように絵本という形式にしたことで、世界10カ国以上で爆発的に売れたそうです。北朝鮮にも配りたい。









P.S. “フランス” “女性” というキーワードで思い出される本が、『 それでも私は腐敗と闘う 』 と 『 碁を打つ女 』。前者はコロンビア人で後者が中国人。いずれも外国人。偶然かな。

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