『文明の衝突と21世紀の日本』サミュエル・ハンチントン著 鈴木主税 訳


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中国の温家宝首相が来日しました。中国の首相の来日は7年ぶり。新聞によると中国では小泉首相時代とはうって変わって親日ムードを盛り上げているそうです。

ただ、ホントは反日だってこと、アジアカップのサッカーでわかっちゃいましたからね、複雑な気分です。


まぁ、仲良くできるんならそれに越したことはないので、ニコニコしている間に車に乗せて一緒に靖国神社に連れて行っちゃうなんていうのはどうでしょう(笑)。

いずれにしろ、北朝鮮や台湾に関しても微妙な駆け引きがあるでしょう。


温家宝 安倍首相.jpg



まじめな話、今回の来日では、色々な注目点があるのですが、小泉政権時代のアメリカとの蜜月関係にひびが入りつつあるという指摘もある、微妙なタイミングだけに日中関係がどうなるか、非常に気になります。


本書は、『文明の衝突』 の続編のような売り出し方で、『文明の衝突』が98年に出て、その後2000年に本書が出版されました。文明の衝突では日本に触れる部分が少なかったので、書名を見て期待したのですが、ほとんど文明の衝突の廉価版という感じです。一応論文が二つ追加されてはいますが。


ハンチントン氏は世界を8つの文明に分けます。西欧、東方正教会(ロシアなど)、中華、日本、イスラムヒンドゥーラテンアメリカです。この分け方自体に異論もあるでしょうが、とりあえずこれからの時代は国家の枠組みというより、文明の枠組みで衝突が起こると主張したわけです。


そして、それ以降、9.11のテロやロシアのチェチェン独立問題や東ティモールなどが起きて、ハンチントンの予言が当たった!となりました。確かにこれらの事件に関しては、国家以上に文明の力が引き起こしている部分が大きいと思います。


さて、問題は日本です。ハンチントン氏は日本を独立した一つの文明として、中華とは違うというように分類しています。が、困ったことに、どこの文明とも違うので、国単位で見ると、日本は孤立していくと指摘するのです。


そして、歴史的に見れば、日本は一番強い文明とくっつきたがるので、今後は衰退期に入るであろう西欧文明のアメリカではなく、どんどん力を付けて存在感を増している中華文明と連携するのではないか、2010年頃の予測としてそう書かれているのです。


今、2007年で、日米の雰囲気がちょっと悪くなって、逆に中国が親日ムードのまま北京オリンピックで大歓迎な〜んて考えると、あながち荒唐無稽とは言えませんね。同時に氏は、自分の国アメリカに対しては、ぜひとも日本を味方につけておけと忠告しています。


文明の衝突』が500ページを越え3千円近くするのに対し、こちらは解説を省けば190ページほどの新書で700円くらいです。確かに一章分だけは日本に当てているのですが、他は文明の衝突の要約のような内容でした。

従って、続編を連想させる、こういう書名の付け方、売り方には正直がっかりさせられましたが、文明の衝突に興味があっても、まだ読んでいないという方ならお薦めできます。


同氏の『分断されるアメリカ』 の内容も、アメリカの大統領候補に、オバマ氏のようなスターが出現し、予想が当たっているような気がします。興味深い一冊でお薦めできます。

Barack_Obama_portrait_2005.jpg
オバマ氏)


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文明の衝突と21世紀の日本』サミュエル・ハンチントン著 鈴木主税 訳
集英社:205P:693円