『アイドル政治家症候群 − 慎太郎、真紀子、康夫、純一郎に惹かれる心理』矢幡洋
今度の東京都知事選、何と朝日新聞が社説まで使って、民主党の菅直人氏にラブコール、立候補を促したそうですが、どうもご本人は出たくないようですね。出馬してくれれば生徒たちの政治に対する関心も一気に高まるでしょうに。
NEWS23の司会者、筑紫哲也氏も民主党に出馬を打診されたと報道されていましたが、こちらも難しそう。TBSなんかさっさとやめて、そのまんま東の決断力を見習って、あとは、みのもんたに任せて出ればいいのに(笑)。
他にも名前が出ているのが、田中康夫、海江田万里に小宮山洋子や蓮舫と、みんな政治以外で活躍した有名人ばかり。やはり現職の石原都知事に勝つには、相当な知名度と、プラス、アイドル性のようなものが必要なんでしょう。
出馬表明した建築家の黒川紀章さんの決意はあっぱれ、奥さんは若尾文子さん。私は著作も読んで共感を覚えましたし、大物であることは確かですが、どうなんでしょう、黒川さんをもってしても、まだインパクトが少し弱いような気がしますが…。
本書は日本中をわかせたアイドル(偶像)政治家として石原慎太郎、田中真紀子、田中康夫、小泉純一郎、プラス鈴木宗男を取り上げて、それぞれ心理学の側面から各氏の行動や性格を分析します。
例えば、田中康夫は “演技性パーソナリティー” といって、簡単に言えば「目立ちたい」人。田中真紀子はちょっと難しくて、“否定性パーソナリティー” “攻撃的パーソナリティー” “すね者パーソナリティー” がからむそうです。不機嫌で扱いづらい人。
石原慎太郎は“反社会性パーソナリティー” “加虐性パーソナリティー” で、小泉元首相は“中心気質” というように分類しています。
以前ご紹介した大御所、大嶽秀夫氏の『日本型ポピュリズム』は、政治学者だけあって、やや専門的な一冊でしたが、こちらは非常に分かりやすい内容です。
また元衆議院議員の水島広子氏が書いた『国会議員を精神分析する』では、石原慎太郎や田中真紀子は“自己愛性パーソナリティー”といって、ちょっとした人格障害に分類していましたが、政治色が出ていたので、それより信頼が置ける一冊ではないかと…(笑)。
石原氏らを、ある心理学の世界的権威がまとめた分類にはめ込んでいるだけですが、心理学というものは実社会でも役立つなぁと感じます。このアプローチによって彼らの一見不可解な行動の意味が分かりますから。
難しい用語はなく、しろうとでも政治家の行動パターンをマスコミで作り上げられる虚像に左右されることなく、分析することを可能にしてくれています。政治家を批判するのではなく、あくまで有権者が彼らのことを誤解しないようにという意図で書かれていると思います。
現代の国政選挙では、大勢の人前で、感情を込めてわめいたり、どなったり、土下座したりといろいろ大変です。目立たなければ話になりませんから、確かに普通の神経の人では政治家は務まらないでしょう。
じゃあどういう人に託すのか、政策も重要でしょうが、性格も見極めないとだまされちゃいますね。
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『アイドル政治家症候群 − 慎太郎、真紀子、康夫、純一郎に惹かれる心理』矢幡洋
中央公論新社:209P:756円