『コロケーション英単語ー単語と単語の結びつき』LSC研究会 金谷憲
私は自分の授業では、生徒に覚える単語を指示し、暗記用の単語集プリントも渡しますし、その単語テストはレベル別に何種類も作っていますので、基本的にはこういった暗記用の単語集を使いません。
ですが、どうしても市販のもので、どれかを薦めて欲しいと言われたら本書かなという一冊です。ただし、あくまで 英語学習の補助が目的で、最高レベルではありませんし、CD付きでないのが残念ですが。
受験生の心理としてはどうしてもベストの一冊を望みます。“これさえやれば大丈夫!”という単語集が欲しいのですね。そうでしょ? 当然、出版する側もその意気込みで作っていますので、結果的に膨大な情報が詰め込まれますが、果たしてすべて完璧に覚えられる生徒はどのくらいいるでしょう。
学校や塾で強制的にやらされれば話は別ですが、一人で覚えきってしまう生徒は、かなり少ないでしょう。
どんなすばらしい単語集でも覚えきることができないのでは無意味ですね。これまでご紹介してきた単語集はどれも申し分のない受験英語の情報が詰まっていますし、内容も良く練られています。
多くの時間をかけて、すべてを覚えれば、単語力だけはいきなりトップレベルの受験生に仲間入りですが、果たして時間対効果はどうでしょう。
暗記スピードに自信のある人以外は、明らかに“やりすぎ”になっているはずです。
どういうことかといえば、社会人が英検やTOEICのために英語を勉強をするのであれば、時間をかければかけるだけ得点力UPにつながりますから、何の問題もないのですが、受験生の場合、英語に時間をかけるということは、すなわち他の科目の勉強時間を奪っていることにもなります。
“ターゲット” や “速読英単語” は覚えたけど、古文単語はダメ、とか歴史の勉強が遅れているとなってはいけないわけです。各科目ごとの攻略法だけでなく、受験勉強全体のスケジューリングを誤っている人が非常に多いですね。
なるべく能率良く単語を覚えるには、英文解釈や長文読解のテキスト、あるいは過去問で使われている単語を中心にすべきです。ただ、いわゆる難関大学を現役で合格したいという生徒にとっては、それだけでは単語の数が不足しかねませんので、単語集を使うのが良いでしょう。
その点で、本書は量が適切ですし、コロケーションという語のつながりを重視した編集になっていますので、非常に使いやすく、最後まで覚えられる確率が他書に比べて圧倒的に高いと思います。
トップレベルの生徒には情報が少ないのですが、上で述べたような意味での推薦ですから、その点は考慮に入れた上で検討して下さい。
本書で、一番上のレベルとして挙げられているコロケーションを10ほど紹介しておきますので、これがすでに半分くらい分かる人は、易し過ぎますから、もう少し難しいものの方が良いでしょう。
This fablic wears well. launch a satelite into orbit
burst into flames a reign of law
win by sheer luck the privileged classes
an abrupt change be reinforced by the evidence
groan in pain scatter in all directions
いかがでしょうか。本当はそれぞれの単語帳に適した使いかたというのもあるのですが、使う人の学力などにもよりますのでここでは述べません。
一つ言えることは…
単語集に限らず、受験生はどうしても背伸びした、自分の学力より上のレベルの参考書を使いたがります。特に、“○○大学に受かった先輩” が薦める参考書は要注意です(笑)し、“ブランド品” を好むのは何もファッションに限りません。
本当は自分の力や、できれば性格まで知ってくれている、信頼できる先生に相談すべきです。難しいものにチャレンジする気持ち自体は大変良いことですが、能率が悪いと感じたら、ためらわずに他のものに代えて下さい。
この時ばかりは“もったいない”などとは考えず、学力UPしてから使えば良いのですから、しまっておいて下さいね。
■■■ ランキング ■■■
記事がいくらかでも参考になりましたら
クリックしていただけるとありがたいです。お願いしますm(__)m
↓ ↓
http://tokkun.net/jump.htm
(当教室HPへ)
『コロケーション英単語ー単語と単語の結びつき』LSC研究会 金谷憲
桐原書店:317P:918円