『あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック』ロン クラーク著, 亀井よし子訳
“給食費を払わない親” に関するニュースには本当に驚かされました。とうとう、そんなところにまで、教育問題が出てくるんだと…。子供の “食育” 問題は親や家庭のしつけ問題でしょう。
ゆとり教育導入当時に、絶対反対だと思った理由の中で、一番分かりやすいものが、
【すでに同様の発想で、アメリカ、イギリスでの“ゆとり教育的なもの”が大失敗している】 ということでした。
先日ご紹介した、『日本を滅ぼす教育論議(岡本薫)』 の中でも、ゆとり教育を始めると知った外国人から“日本人は我々を見ていないのか” と言われたというエピソードが紹介されています。
そうです。すでに20年前にアメリカのレーガン政権は、衰退するアメリカ経済の問題は教育にあるとして 『危機に立つ国家 :A Nation At Risk』 を発表し、これは何千万部も売れたベストセラーとなりました。その一部、英語ですがよろしければご覧下さい。大学受験生なら読めると思います。
→http://www.ed.gov/pubs/NatAtRisk/risk.html
結局、日本でも教育再生会議がこれから、きっと “日本版、危機に立つ国家” を発表し、アメリカのゼロトレランス方式(生徒に対する不寛容:小さなことでもきちんと罰則を与える) が、例えば、いじめっ子に対する出席停止措置にあたるのでしょう。
数年前の予想通り、もうそっくりの道をたどっていると感じます。
そんなアメリカでも、教育現場で悩まされたのは、学力の低下の後に続く、マナーの低下、日本なら少し前の学級崩壊、フリーター、失業問題、そして犯罪です。
本書は2001年に「全米最優秀教師賞」を受賞した著者が、教育現場における日常生活のマナーの大切さを紹介した本です。
目次は以下のようなものです。
大人の質問には礼儀正しく答えよう
相手の目を見て話そう
だれかがすばらしいことをしたら拍手をしよう
人の意見や考え方を尊重しよう
勝っても自慢しない、負けても怒ったりしない
だれかに質問されたら、お返しの質問をしよう
口をふさいで咳やくしゃみをしよう
何かをもらったら三秒以内にお礼をいおう
もらったプレゼントに文句をいわない
意外な親切でびっくりさせよう
〔ほか〕
日本とは文化が異なりますので、そのまま具体例を受け入れることはできないでしょうが、その行動の根底にある、相手に対する思いやりは共通です。
ポイントは、この筆者が上のようなことを頭から押しつけるのではなく、まず自ら実践し、それがなぜ大切なのかも子供たちに考えさせていたからこそ成功したというところだと思われます。
大変読みやすく、ユーモラスでもあり感動的でもあります。 本書は子供の教育論であるばかりでなく、私たち大人の生き方をも問題にしていると思います。ちなみに著者はこの教育実践を通じて、ハーレムの底辺校から優秀な生徒を生み出しています。
給食費もそうですが、上記のような、普通は説明せずとも “当たり前” だと思われることが、そうではなくなっている、このような題名、内容の本が必要とされる時代になったとも考えられますね。
P.S. 給食費問題、すずさんのブログ、【What A Woderful World】 で取り上げておられます。ぜひご覧下さい。
→ どうしようもない親、息ができなくなる
また、genio先生の時事問題もチェック!
→ ■入試に出る時事ネタ日記■
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『あたりまえだけど、とても大切なこと―子どものためのルールブック』ロン クラーク著, 亀井よし子訳
(草思社:254P:1470円)