『日本型ポピュリズム』大嶽秀夫



センター試験をしている間に、そのまんま東さんが知事ですよ。失礼ながら、勝手に泡沫候補だと思っておりましたので驚きました。

これまで不祥事も起こしましたが、早稲田に再入学して勉強もしていました。談合事件で嫌気が差していた宮崎県民の心を見事につかんだようです。すごいなぁ〜。


宮崎出身ですし、知名度は確かに抜群でしょう。これまで多くのタレント、有名人政治家が登場しましたが、なかなか理想通りに活躍できません。私は彼の政策などは何も勉強しておりませんので、何とも申し上げられませんが、少なくともかつての大阪府知事のようにはなってもらいたくないですね。


トップだけ一時的に変わっても、談合体質はそれこそ、“そのまんま” になるという現象もよく見られます。県民の期待に応えるように、しっかりとした政治をぜひお願いしたい。


さて、本書は、大衆迎合政治や衆愚政治などをイメージさせる、『日本型ポピュリズム』が目に付くようになった90年代から丁寧に振り返り分析します。政治学科を志す高校生に読んでもらいたい一冊です。以前、取り上げましたがもう一度紹介させていただきます。


著者の大嶽氏は『現代日本の政治権力経済権力』でサントリー学芸賞を受賞、2001年には紫綬褒章まで受章されている大物学者ですが、久しぶりの著作だと思ったら、鬱病を患っていらしたそうで、回復しつつある時に本書を書き上げたそうです。 


非常に膨大な量の資料や文献にあたり、細川護煕石原慎太郎田中真紀子加藤紘一小泉純一郎などが繰り広げた政治現象を、日本型ポピュリズムという観点から説明します。


アメリカとの比較や、小沢一郎などとの対照、報道番組やワイドショーの果たした功罪両面の役割など多角的に分析します。 


高校生が新聞の政治記事をよく読んでいても、やはり一日の分量はたかが知れていてなかなか全体像が頭に入りません。彼らは細川首相の時代はまだ少年少女ですから、実感がないのも当然です。 


逆にテレビというのは、あることがらの経緯を簡略にまとめた上、映像やBGMを用いて分かりやすく情報を提供してくれますが、視聴率や不偏不党を意識するためか、どうしても紋切り型になってしまいます。


また、人気キャスターだからといって筑紫哲也やかつての久米宏などのフィルターを通してできごとを理解してしまうとニュースが違った物語になってしまいます。 


本書はそういう点を指摘し、主に小選挙区導入以降のポピュリズムに焦点を当て、日本の政治風土とその変化を明らかにしてくれます。非常に読みやすくなっていますし、様々な新情報を得ることができます。


筆者は奥さんと一緒の闘病生活を乗り切ったあと、充実した気合が感じられる重厚な一冊でしたが、後半は息切れでしょうか、大嶽氏らしからぬやや雑な印象も受けました。



P.S.受験生の諸君には、そのまんま東というタレントはそれほど、強烈な印象はないかな。まぁ、さまざま話題になった人物です。それにしてもいろんな人生があるもんです。受験も人生の通過点に過ぎないけれど、その時々、全力で頑張っていないと、次のチャンスは来ない。がんばろう!





■■■ ブログランキング 
■■■

受験生に引き続きエールを!

はげましのクリック、よろしくお願いします。



↓            ↓

人気blogランキングへ  にほんブログ村 本ブログ  







http://tokkun.net/jump.htm 【当教室HPへ】



『日本型ポピュリズム大嶽秀夫
中央公論新社:308p:966円



P.S. 私事ですが、以前、
愚息に関して記事をUPしてしまい、励ましのメッセージを入れてくださった方もおられますので、謹んでご報告です。おかげさまで、最初の受験校、千葉の市川中学に合格しました。第一志望はこれからですので受験は続きます。塾講師としては、結果がすべてという姿勢ですが、親としては、受験を通して学問の奥深さを感じ、知識を習得すること、そのために努力をすることが重要で、合格という結果はほんの少しだけあれば良いと思っております。ですから、この合格で、うそではなく(笑)大満足です。教室の先生方、ブログでコメントまで下さったみなさん、ありがとうございました。