『いつでも夢を』 辻内智貴

 

 

辻内智貴 いつでも夢を.jpg

 

 

やっとクリスマス本番ですね。当教室では23日から大晦日までずっと授業が続きますが、街全体がずいぶん前からクリスマス気分ですから、今日あたりは月曜日ということもあって、もう疲れているのではと心配してしまいます(笑)。


さて、クリスマスに楽しく温かい気持ちにさせてくれる一冊をご紹介しましょう。大変すばらしい、お気に入りの小説ですが、大人の男女関係が中心ですので成人向け。高校生以下は読んではいけませんよ(笑)。


辻内氏の作品は、『信さん』をかつて取り上げました。それもすばらしい本だと思いますが、本書は『信さん』 とはかなり雰囲気の異なる作品で、別の種類の感動を味わうことができました。

格調高い文学作品というのではありませんが、私には忘れられない一冊で、感動的なお話なのですが、同時に声を出して笑ってしまうような場面がいくつかあり、辻内氏はこんな作品を書くんだと、読後も興奮して眠れませんでした(笑)。

“純愛小説の傑作!”と本の裏にはありますが、私にとっては、ちょっと分類不可能な不思議な魅力を持った本です。

 

■■■ ストーリー ■■■

あるどしゃ降りの日、雨の中、白いワンピースを着た若い女性が手にカッターを持ったまま、傘もささずにずぶぬれで立っていました。それを見かねて、40歳の売れない小説家のジローとヤクザの幹部である龍司がそれぞれ声をかけます。

その日、仕方なくジローのぼろアパートへ連れて帰りますが、名を洋子というその女の子には、暗い過去を持ち、リストカットなどを繰り返し、現在も精神科に通っているということがわかってきます。そこから妙な同居生活が始まります。

長年同じアパートに住む、元警官のおやじと、その妻で気のいい世話好きの玉代の二人もジローと一緒に洋子の世話を見ます。

最初、雨の日に出会った、龍司は、幼くして亡くした妹と洋子がダブり、心配になってちょっとのぞきにきたところ、おやじさんがかつて自分が世話になった警官だと気付きます。そんな不思議な縁で洋子を見守るようになります。

そこから徐々に明らかになる、彼らの過去、それにより人に優しくなってきた人々が、洋子を応援し、彼女の心の再生を果たします。やがてジローと洋子が結ばれるという感動的、私にとっては爆笑のエンディングが待っています。

■■■

 

とにかく登場人物の設定や描写が巧みなのでしょう。ジローのとぼけ方、純粋さが良いし、龍司の男らしさが魅力的で、おやじさん夫婦の落ち着きやおせっかいぶりに懐かしさ、頼もしさを感じます。

そして時おり彼らに語らせる人生観が、物語をぐっと引き締めます。 テンポよく話が展開し、途中でやめられませんでした。

自殺や暴行事件、虐待といったことも出てくるのですが、それらすべてが、奇抜なアイデアのすばらしいエンディングで吹き飛ぶようなしかけです。氏のユーモアのセンスが私にはピッタリです。

 

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光文社:236P:1575円

 






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