今日の一冊


心の潜在力 プラシーボ効果ー.jpg



プラシーボとか、プラセボとも呼ばれる “ニセの薬=偽薬” があります。薬とは言っても、プラシーボの実際の成分は、単なる砂糖水だったり、食塩水だったりします。


“病は気から” とは、よく言われますが、現実に、病状に影響を与えることのない単なる食塩水や砂糖水などを “よく効く薬” だと言って患者に投与していると、本物の薬と同等に、場合によっては本物以上に“プラシーボ”の治療効果が出てしまうことさえあります。


つまり、プラシーボの効果は、さまざまなデータを見ますと、即座に否定できないところまできているのです。ただ、砂糖水や塩水で病気が治るんなら、医者はともかく、製薬会社はいらないことになりますが…。


プラシーボ効果について医学界では、まるで、“この世に神様は本当にいるのか、いないのか” 果てしなくそんな論争をしているかのように見えます。本書では実例を数多く挙げてはいますが、筆者自身は具体的な論争には加担しません。


プラシーボを中心におき、ガンやうつ病などの実際の病気との関係だけでなく、ストレスや宗教、神秘体験、学習などの関係に話しが及びます。何かを信ずることによって生じる心の安定と、それに続く体自体の変化など、それらに対し“心と脳”という観点から考察を加えています。 


明らかに人間にはプラシーボによって引き出される未知の治癒力がある。それ以外にもプラシーボによって学習効果が上がる、記憶力も上がる。そういう実例、報告をたくさん紹介し、科学では説明できないとしても、そういうことを知っておいて日常生活に応用しようというのが筆者の立場です。


これまでにも、

海馬(糸井重里・池谷裕二)』 

男の子の脳・女の子の脳(レナードサックス)』 

脳の中の人生(茂木健一郎)』 

バカな大人にならない脳(養老孟司)
 

など、脳に関わる本を何冊か紹介させていただきましたが、やはり人間の脳の複雑さ、奥深さゆえ、現代科学では解明できていない部分がかなりありそうです。


きっと、力のある宗教家や政治家は昔からそのことを知り尽くしているのだと思います。人の心の弱さにつけこむ、という言い方もできますが、信じることによって生ずる理解しがたい人間のパワーを熟知しているのでしょう。

さめた眼で見ていれば、ニセ宗教なのに、それが、それこそ“信じられない”ほど流行ったりするのは、なにも理由のないことではないのだと。


せめて心や脳の傾向を知り、自分の健康や人生に生かしていくという筆者のスタンスは非常に好感が持てます。 





http://tokkun.net/jump.htm (当教室HPへ)




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P.S. 勉強に関しても、実際に生徒を見ていますと、確かにこちらのことを信じきっている生徒の成績が、こちらの想定以上というか、私の実力以上に伸びることがよくあります。おそらくベテラン先生であれば、みな経験されているでしょう。“オレを信じろ!” 式の指導方法は、相手によっては効果抜群なのです。ね、キムタツ先生。

VIVAも信じてみて下さい。ただし、“な〜んだ、ただの砂糖水だ” と呼ばれないようがんばらないと(笑)…。

 


『心の潜在力 プラシーボ効果 − 偽薬は効くのか』広瀬弘忠
朝日新聞社:201P:1155円