『禅的生活』玄侑宗久


『禅的生活』玄侑宗久.jpg


玄侑 (げんゆう・そうきゅう)氏は、芥川賞作家であると同時に、臨済宗のお寺の副住職でもあります。ご自分のサイトもお持ちです。


あるラジオ番組に出演され、禅についてお話しされているのを聞き、おもしろそうだと思い、本書を購入しました。私自身は、“座禅” とか “無” と言われると、興味を覚えますが、“禅” に関して何らかの知識があるわけではありません。


本書は、座禅なしで、禅の考え方を身に付けようという主旨です。忙しく、住みにくい現代を少しでもリラックスし、楽に生きられるように、というわけです。

忙しいとか、住みにくい、ということは、常に相対的な概念ですから、いつも何を基準にそう判断すればよいのだろうと思っておりました。ただ、日本に確かに自殺が多いとか、私自身もストレス性潰瘍を患ったことがあるので、そう言われると、すぐに、やってみようと思ってしまうんですね。


私が、その手術で入院していたおり、ストレスに関する本を何冊も読みました。その時に、わかったことは、自分ではそう思っていなくとも、つまり無意識であっても、日々の絶え間のない緊張(ストレス)は、人の健康に影響を与えているのだということです。


そうか、たまにはカラオケやゴルフでもして、ストレス発散しなきゃダメだぞ、などと人に言っても、人前に立つのが嫌いな人にとっては、それが大変なストレスになりますから、逆効果なわけです。

そこに難しさがあって、要するにストレス要因も人それぞれですから、解消方法は自分で見つけるしかない。人にアドバイスするとすれば、のんびりお風呂につかるとか、好きな音楽を聴く、というぐらいしか、最大公約数的な具体策はないんですね。


ところが、禅のテクニックを利用すると、悲しみや怒りなどの“感情”や、“無意識”と思われているものでも、それによってはコントロールできるというのです。

もちろん、本来、禅は大変、奥深いもので、勉強も修行も必要でしょうから、感情のコントロールが完全にできてしまうのは、いわゆる “悟り” を開くということです。そこまで行かずとも、禅の考えを知ることによって世界観を広げることを手助けします。 


手始めに、最初の章で、無意識に出てくる “あくび” だって意識的にできますと、以下のようなテクニックが紹介されています。 

 

まず直前に軽く一息吐いてから、口を開き、意識をのどの奥、というより両耳を結んだ中心点あたりに置く。

それだけでしばらくすると後頭部が締まりだし、口が更に開いて見事なあくびが出る。 

意識の置きどころさえ間違わなければ、必ず出るはずで、何度やっても出る。



私もやってみました。最初はできませんでしたが、何度も、“こんな感じかな?おっ、出そう、いや違う” なんて感じで、しばらく練習すると、確かにあくびが出るんです。興味があれば、お試し下さい。


ただし、こうした簡単な健康法の紹介ではなく、思想的、宗教的な話ですから、読み応えのある一冊です。 ここで言いたいことは、あくびの仕方にとどまらず、眠たいと思う『心』も、眠ろうとする『体』も実は、意識的にけっこう誘導できるということです。


“無可無不可” “一切唯心造” “六不収” “廊然無聖” “応無所住而生其心” “柳緑花紅真面目” “一物不将来” “日日是好日” “随所作主立処皆真” “平常心是道” “知足” “安心立命” “不風流処也風流”


こういった概念の説明ですから、筆者の、”一人でも多くの人に楽で元気になってほしい”という願いで書かれた一冊ですが、気楽に読めるわけではありません。健康法というより、思想に興味のある方にお薦めです。



http://tokkun.net/jump.htm 【当教室HPへ】

このブログは
■■ gooブログ 
本を読もう!!VIVA読書!の写しです ■■


■■ ランキング  
■■

最後までお読みいただいてありがとうございます。少しでも参考になりましたら、応援のクリックをいただけるとうれしいです。

  人気blogランキングへ    にほんブログ村 本ブログ  


P.S. Pochi先生のことに関しまして、暖かいお言葉をいただき、本当にうれしかったです。本人にも伝えます。さいわい心配したより軽い症状のようで、確定はしておりませんが、早期復帰が可能との印象を受けました。心よりお礼申し上げます。


禅的生活玄侑宗久
筑摩書房:237P:756円