『「受験世界史」の忘れもの』 井野瀬久美恵

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高校の必修科目である世界史の未履修問題、こんなことがあるんですね。誰かが責任を取るのでしょうか。校長への注意だけなら生徒は助かりますが、ゆとりの時、あれほどもめていた“指導要領”とは一体何なんだということになるでしょうね。

少なくとも公文書に、虚偽の記載は法律違反でしょうし、岐阜の裏金でもあったように、教職員のモラルハザードはどこまでも続いてしまう。一方、自分の受験科目じゃないのに、まじめにやっていた学校の受験生は、どう感じるでしょうね。


かといって厳しく対処すれば、世界史を受験科目にしていない生徒はたまったもんじゃないですね。たまたま2007年度入試を受ける現役の生徒たちが、受験直前に世界史受験でもないのに、その集中講義を70時間も受けなければならないという、信じがたい状況に追い込まれてしまいます。 学校の不始末を生徒たちが責任を取らされるわけです。

卒業延期して、入試の後に補習というのが現実的でしょうか。それにしてもやっぱり誰も従いたくないような指導要領だった。文部科学省は、裸の王様だということがよくわかったでしょう。

センター試験まであと3ヶ月を切って、1時間、10分でも時間が惜しいときに、70時間取られる。実にバカバカしい。 高校3年生諸君に“世界史は抜群におもしろい!”と言っても、何の慰めにもならないでしょうが、その“受験世界史” の問題点を指摘し、授業では決して語られない、“本物の世界史”を語った一冊を紹介します。

まずは、生徒にも、この地図をじっくり見て欲しいですね。

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そうです。見慣れた地図と異なり、日本は端っこに来ています。世界の人々は、こういう地図を見ながら、ものを考えます。世界の中心は日本ではなく、あくまで西欧。そして、受験世界史も西洋中心主義が過ぎる、と筆者は指摘します。

さまざまな興味深いエピソードが登場しますが、受験世界史と筆者が大学で教えている世界史に橋をかけたい、そんな思いで書いたそうです。今回の事件で、再読してみましたが、やはりおもしろいです。この先生の大学の世界史の授業に参加したくなるでしょう。


【本書の裏にある言葉】

世界史は、物言わず静かに流れる時の大河。その壮大な流れを受験世界史は古代・中世・近代・現代と切り刻み、細かな事実を羅列する。かくして、歴史は無味乾燥な年号と人名と事件の集積と化す。しかし、実際の世界史は教科書と裏腹に、もっとダイナミックに、人間くさく動いてきた。本書は、そうした歴史の裏側に光をあて、本当の世界史の醍醐味を満喫させてくれる一書。



誇大広告でなく、その通りだと思います。ただ、残念ながら、本書はアマゾンのユーズドでしか入手できないようでした。(またPHPだ)。しかし、井野瀬氏には、他の著作もたくさんありますので、きっとそちらでも同じような興奮が味わえると信じています。

http://tokkun.net/jump.htm 


『「受験世界史」の忘れもの』 井野瀬久美恵
PHP研究所:198P:480円



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    1位の半分がなかなか(トホホ…)
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