『炎と氷』 新堂冬樹

 

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しばらく前のことですが、ある新聞の書評欄で、本書に関して 「とうとう新堂氏がやってくれた!」のように絶賛されていたので読んでみました。新藤冬樹さんという方の作品ははじめて読みました。





何も知らずに読んだのですが、何とヤミ金融の世界でのし上がろうとする二人の男の物語でした…。炎と氷は二人の人間の比喩。



どんな相手であれ、金のためなら力ずくで、命知らずの戦いをいどんで屈服させようとする “炎” のような男、世羅。 一方 “氷” の方は、中学時代に世羅を、機転を利かせたしかけで暴走族から救ったことのある冷静な男、若瀬。



この親友二人が九州で作った金を元手に東京で別々にヤミ金を始めます。 



拙ブログでも、『武富士サラ金の帝王(溝口敦)』 を取り上げたことがありますが、本書も想像を絶する、めちゃくちゃな世界が描かれています。新藤氏はこれを丹念に取材をして書いたのか、想像上のことなのか…。



実際、随分前になりますが、ご記憶でしょうか、日栄というサラ金の会社が厳しい取立てで 「肝臓売れや!」 などという脅し文句の録音テープがテレビなどで流されました。本書ではそれはまだまだ序の口。



下世話な言葉で言えば、“サラ金ならまだしも、ヤミ金はまじでヤバい”。痛切に感じます。





自分達にとってじゃまな相手が女性であろうと、子どもや老人であろうと容赦せず、それぞれの “シマ” で順調に活動を続け、業績を伸ばしますが、やがて彼らよりずっと規模の大きいヤミの世界が黙っていられなくなります。



入り組んだ事件や闇の世界とのつながりから、とうとう親友であった二人の利害が衝突する事件が起こります。縄張り争いが衝突を招いた結果です。 





まぁ、あらん限りの乱暴な言葉遣いや、凄惨なシーンが数多くありますので、高校生以下にはとてもおすすめできませんが、読めばヤミ金にはどんなに困っても近付かないという教訓は得られるでしょう。



さまざまなトリックもあり、展開もおもしろく、500ページ近い大作ですが、飽きることなく読んでしまいました。後から知ったのですがファンからは 「新堂ワールド」 と呼ばれているそうですが、私も正直、どっぷりとつかってしまいました(笑)。 



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炎と氷

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