『上海ベイビー』衛慧(著) 桑島道夫(翻訳)

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syanhai


中国でベストセラーになるも、結局は発禁処分とさせられてしまった話題の書です。

これまでも 『中国暴発』 や 『毛沢東を越えたかった女』 をご紹介しましたが、どれを読んでも、中国は“動いているなぁ” という印象を持ちます。とりわけ上海という街はその代表格でしょうか。

政治の中心が北京なら、上海は経済の中心地。昔から、租界 があり、外国との窓口にもなっていますし、日本から上海に訪れる人は、なんと年間50万人!にもなるそうです。

中国最大の貿易港であり、若者の憧れの街。マンハッタンかと思われるような高層ビルが林立する一方で、租界時代に建てられたヨーロッパ風の古い建築物があり、また開発から取り残された貧しい地区もある。

まさに、現代の中国の表と裏、光と影を象徴したような街、それが上海ではないか、と、実は行ったこともないのに、想像で書いております(笑)。すいません、知っている方、コメント下さい。

また最近は、上海市のトップが汚職に関わっていたとして、解任され、さらに追求が広がるだろうと報道されました。この一件は、“胡錦濤VS江沢民” の権力闘争で、いよいよ江沢民の 「上海閥」 を排除しようという動きだという見方まであります!とにかく良くも悪くも、ワイルドな街ですね。


本書はそんな上海に住む、作家志望の女性ココが主人公です。(過激な性描写で発禁処分になったと話題になりましたが、“普通”でしょう(笑)。何かそういうことにした方が売れるという魂胆が見えるような…)

ココは、作家志望で、アルバイトをしながら小説を書き続けています。天天という男性と同居をしており、愛しているとはいうものの、どことなくその生活にあきたらず、妻子あるドイツ人にひかれたり、自分とは異なる奔放な性格の女友達にあこがれたりします。上海特有のありあまる刺激を拒絶することができません。

気持ちを整理できないまま、日々何とか折り合いをつけて、変化の激しい世の中で生きていくうちに、気が付いてみると、自分が完全に大都会に飲み込まれている。本当の自分がわからなくなり、もとの心をとりもどすことが良いのか、悪いのか…?今の自分は、成長した姿なのか、堕落なのかという葛藤を描いているように思います。

いっそのこと、道徳心など捨ててしまえば、どれほど楽か知れなくても、夢もあきらめられない。何を信じてよいのか分からない、そんな若者の、いわゆる“自分探し” の様子が印象的です。


都会に出てきた若者を題材とした小説で、“夢・都会・酒・ドラッグ・性” などが描かれているのはよくあります。若い女性が夢を追い、思い通りにならず堕落していくさまが、上海という印象的な舞台に乗せられているのが、新鮮で、最後まで飽きることなく読み進められますと思います。

でも、どうでしょう、本書を読んで、上海に行きたくなるかどうか、意見が分かれるところだと思います。

私は大変、上海に興味を持ちましたが、さわやかな読後感を味わえるというような作品ではないような気がします。


P.S. 例によって、genio先生に、受験に関する、中国関連の情報をまとめてもらいました。

受験生はチェック→ 『入試に出る!時事ネタ日記

http://tokkun.net/jump.htm 


『上海ベイビー』衛慧(著) 桑島道夫(翻訳)
文藝春秋:392P:650円



■■ 自分探し  ■■ 

4コマ哲学教室』 のところでも、ふれたように “自分探し”という言葉は、夢を追い求めるような、哲学的な響きもあって、人を魅了しますが、危険ですね。それよりも自分の立ち位置を確認すること。私の場合は、『 日本人・男・43才・塾講師 』それ以上でも、それ以下でもない自分。ランキング2位も立ち位置ですが、これは動くものですから、全然気にしない!!!(←うそつき) ふ〜、難しいもんです。

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