『劇画 内閣総理大臣伝』よつや文(作) 原田久仁信(画)

いよいよ、安倍総理の登場です。どうなんでしょうか、自民党総裁選で敗れたお二人は、次やその次を狙っての出馬だったでしょうか。権力闘争というのは、どこの国でも命がけですが、日本の、特に今回は平穏でしたね。少なくとも外見は…。

しかし日本でも、歴史を振り返れば、禅譲などとは程遠い、権力争いがありましたし、時には、天皇陛下が意見されることさえありました。

本書は、コミックで、歴代総理のうち17人を取り上げて、その功罪や人生を紹介します。息子がコンビニで買ってきたんですが、これがなかなかおもしろい(笑)。

取り上げるのは、

伊藤博文黒田清隆山県有朋大隈重信田中義一浜口雄幸犬養毅岡田啓介広田弘毅東条英機鈴木貫太郎吉田茂鳩山一郎岸信介佐藤栄作田中角栄大平正芳 です。

ただし、詳しく、掘り下げて紹介するというのでは全くなく、その人物をもっともよく表すエピソードを一つか二つ紹介し、人物像を浮かび上がらせるというような描き方です。

絵も本格的で緊迫感がありますし、テンポも良いので一気に読んでしまいますが、できれば各人に対し、最低でもこの5倍くらいは書いてあると、もっと強く印象に残って、良いのですが…。

こうしてさっと読みますと、日本にはさまざまなタイプの権力者がおり、今につながっているんだなと漠然と感じることができると思います。強欲な権力の亡者、命がけで国を守ろうとした者、なるべくしてなったサラブレッドなどなど…。

子どもたちが、本書から、興味を広げて、“もう少しこの人に関して知りたい” となれば最高ですが…。

筆者がその人物のどこを描くかで、何となく思想がわかろうというものです。非常にカッコよく描かれているのは、黒田清隆大隈重信広田弘毅浜口雄幸などで、彼らは日本の誇りであり英雄のような感じです。

一方気の毒なほど悪く書かれているのは、岸信介です(笑)。安倍新総理のおじいちゃんですが、このタイミングで発売は偶然でしょうかね。

以前、日本のすべての総理大臣を採点したことで、話題になり、その評価に賛否両論あった 『総理の値打ち(福田和也・著)』 をご紹介しました。福田氏はそこで、岸信介はすべての歴代総理のうち81点、第3位(1位:伊藤博文・2位:山県有朋)という高評価を与えています。

ところが、本書を読むと、こんな人を総理にしていたのかと、日本人として恥ずかしくなってしまうほどです。人によって評価が異なる典型を見ました。

いずれにしろ、読んでいる分には十分楽しめますが、その人のほんの一部にだけしか焦点を当てていませんので、すでにある程度の知識のある人や、真剣に勉強しようという人には不向きです。そうでない人が取っ掛かりを持つには良い本です。


P.S.  受験生は歴代総理の名前、正しく、全部暗記していますか?ころころ代わったりして覚えにくいんですよね。例によって、genio先生にお願いして、丸暗記方法を紹介してもらいました。メロディーのついた語呂合わせで覚えます。おもしろいですよ。

どうぞ♪ → 『 入試に出る!時事ネタ日記 


http://tokkun.net/jump.htm 


『劇画 内閣総理大臣伝』よつや文(作) 原田久仁信(画)
実業之日本社:496P:600円



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HITOはなぜ夜空


「宇宙像の変遷を語る-人は宇宙をどのように見てきたか」というテーマの市民講座において、その講義をまとめた一冊です。宇宙に興味があっても、物理がよくわかっていない一般の人々を対象にしたような内容で、これから物理を勉強しようという高校生や、私なんかにはピッタリです。

宇宙物理学の変遷とその天才たちについて分かりやすく解説します。天動説からはじまり、コペルニクスガリレオニュートンアインシュタインハッブルそしてホーキングを少し解説するといった中身です。


哲学にも同じことが言えますが、物理に関する教養書も、いくら「入門、わかりやすい」と書いてあっても、私の場合、最後まで読みきるのは大変です。投げ出したくなることが多いのですが、本書は止まることなく、読了しました。

簡単だというより、「分からなかったからもう一度読もう」という気にさせてくれるのです。ボリュームがそれほど多くなく、書き手の人柄がそうさせてくれたのです。もし目の前に著者がいてくれたら、すんなり質問できそうな雰囲気とでも言いましょうか…。

二度目に読んだときは「あ〜なるほど」と思えるところがいくつも出てきて、一度目よりずっと収穫がありました。ただし、それでも全部を理解しているなどとは思えませんが…。 宇宙物理の歴史的な流れが何となく分かったというだけですが、それで充分うれしいのです。

ずっと以前から「〜光年」と聞くだけで、“ホントかよ?”という気がしてしまって、ダメ。私にとって、物理の“光年” と、 化学の“モル” これらは高校時代からの天敵です。 光ですら何年もかかるのをどうやって計算したのか、あるいは光の速さをどうやったら測れるのか、ビッグバンの前はどうなっていたのか、何でもくぐり抜けるはずのニュートリノをどうやってつかまえるのか、物理に関して不思議に思うことがたくさんありました。 そういうレベルの人には良い本だと思います。


以前、ご紹介した、『 和魂和才 (堂門冬二) 』で取り上げている、麻田剛立 と一緒にお読みいただけると親近感がわくと思います。


P.S. 今、確認しましたら、残念ながらアマゾンではすでに在庫は無いようです。う〜ん、PHPは割と好きな出版社ですが、無くなるのが早いのが許せません。確かに、すごく売れるという類のものではありませんが、充分有益な一冊なんですがね。


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