『100万回のコンチクショー』野口健
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一人の日本人青年が、1999年、エベレスト登頂に成功、ついに七大陸最高峰最年少登頂記録を達成、と聞いた時は、本当にうれしく、誇りに思いました。すごい人物がいたもんだと。これは正真正銘の快挙でした。当時、野口さんは25歳ですね。
どんな若者なのか、私は勝手に “山を何より愛する男” として、寡黙でストイックなタイプの人がらを想像していたのですが、本書を読んで、また、テレビなどに登場する姿を見て、まったく違うとわかりました。
本書は、文字通り、“命がけ”で生きてきた、野口健氏のエッセーです。単にエネルギッシュという言葉では、表現したくないほどエネルギッシュ(?)、寡黙どころか、積極的にいろいろなことに発言しています。
その彼の行動の原動力は “怒り” だというのです。じっと辛抱することより、怒りをばねにして、行動に移すのですね。 富士山やエベレスト清掃登山などでも話題になりましたが、それを始めたのも、外国の登山チームに 『日本のマナーは三流』 だと指摘されたことで、書名にある “コンチクショー” となるわけです。
しかも、単に掃除するだけでなく、当時の橋本首相との会談に、エベレストに残っていたゴミを持参し、一国の首相をびっくりさせ、理解、協力を求めるあたりの大胆かつ冷静な戦略も、彼の真骨頂です。父親は外交官だそうですが、誰が相手であろうと、ひるまないのですね。
登山の記録もすごいけれど、正義感もすごい。学校の勉強は苦手でも、本物の知性を持っていて、家族や祖国に対する率直な愛情と、けたはずれの行動力もすばらしい。
そして、学校嫌いだった彼を変えたのは、停学中に読んだたった一冊の本。冒険家 “植村直己” の本だったそうです。
もちろん本のすばらしさもさることながら、たった一冊の本が、野口氏の、それこそ冬山のヴァージンスノーのような彼の心の中に、ドッカと足跡を付けたんでしょう。それ以降、自分の人生をガラッと変えてしまう潔さ、(いくらたくさん本を読んで、ブログで偉そうに他人に紹介していても、ぜ〜んぜん自分は変わらないおっさんが多い中、〔ハイもちろん分かっております〕) これが大変、印象的です。
2004年には、自民党から参議院選出馬要請までされて、本人もそれを快諾していたというではありませんか。ところが、『タレント候補』批判にさらされ、それに反発して辞退してしまいます。
30歳を超えても、子どものころからの“コンチクショー”の精神は微塵も衰えていないようです。 中高生、特に自分のやりたいことが見つからないという人は、読んでみたらどうでしょう。大いに刺激を受けると思います。(あっ、あと、疲れたおじさんたちも)
http://tokkun.net/jump.htm
『100万回のコンチクショー』野口健
集英社文庫:278P:560円
■■ 怒り ■■
【怒り】の段階までは、到達する人が多いと思いますが、それを前向きの行動に変えるのは難しい。ついついグチを言って解消したり、他人のせいにしたり、八つ当たりになってしまいませんかね。見事、頂上を極める人間はすごいもんです。
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