『日本の「ミドルパワー」外交』 添谷芳秀
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いよいよ安倍政権が誕生しそうですが、もっとも注目を集めるのは、やはり外交でしょうね。『 美しい国へ 』 を読んでも、何より外交や防衛問題に重きを置いている印象です。
アメリカとは良好な関係ですが、ブッシュ政権はもはや支持を失っておりますし、中国・韓国との関係修復も容易ではない。その上、ご本人が力を入れていた、北朝鮮の拉致問題は、制裁措置を決めたものの、糸口すら見えません。さらに最近のロシアも厳しいですね。
お世辞にも、楽観できる状況とはいえないでしょうが、別に、日本は世界中で嫌われているわけではありません。いや、それどころか、むしろ、以前、『 アフリカの瞳 』でご紹介したデータが示すように、世界中から感謝されているのです。
不思議と日本人には、まったく実感がわきませんが、そんなところも本書が説明してくれているかも知れません。
ミドルパワーという表現は、分かりにくいのですが、本書の紹介によりますと、・・・
『「ミドルパワー」は、たとえ一定の力をもっていたとしても、「大国」のような一国主義は放棄し、「大国」が繰り広げる権力政治の舞台からは一歩身を引いて、「大国」外交には本来なじまない領域(たとえば多国間協力)においてこそ重要な影響力を行使できる』・・・としています。
非常におもしろい考え方で、実際にはそのようにすでになっているとさえ感じます。そのことに、日本人自身が気付いていないのかも知れませんし、『 日本の戦争力 』 を読みますと、中国・韓国も気付いていないのではないかと…。
まず、戦後日本外交のねじれは、憲法九条を維持したまま、日米安保条約 を結ぶという、吉田茂の「中庸」 から始まったとします。この外交戦略は、間違いなく戦後復興には大きく貢献したのでしょう。ところが、このために、「平和国家日本」 と 「大国日本」と分裂したイメージを与えていると指摘します。この「二重アイデンティティー」 があるために、両方から責められてしまうんですね。
右派 “伝統的国家主義” からは、憲法を改正しろ、防衛力を高めよという圧力がかかり、それに抵抗しなければなりませんし、逆に、左派の“平和主義”からは、自衛隊は軍国主義をめざすものとして批判され、それに反論しなければなりません。
対外的には、アメリカには“憲法の枠内”という、日本の、軍事に “消極的” な協力姿勢を弁明しなければならない一方で、中国・韓国に対しては、“大国” 日本に対する懸念を払拭しなければなりません。
本書では、戦後、憲法ができた段階からの現在に至るまで、時の総理大臣や外務省がどう対応してきたかの歴史をじっくり振り返り、最後には、筆者の主張する「ミドルパワー」の外交というものをはっきりさせることが国益にかなうという意見です。
易しい本とは言えませんが、私にとっては、斬新な指摘が続き、なるほど〜と思いながら、ずっと読みました。ただ、この 「ミドルパワー」 戦略で、具体的な問題、例えば、北方領土とか、拉致事件、靖国など、どう解決に近付けるかということが書かれていれば、強くお薦めできるのですが、残念ながら、そこまで個別の案件に対する言及はありません。それがあれば、★5つの本かなという感じです。
http://tokkun.net/jump.htm
『日本の「ミドルパワー」外交』 添谷芳秀
ちくま新書:756円:237P
■■ 中庸(ちゅうよう) ■■
気のせいでしょうか、あまり聞かれなくなってしまった言葉のように思います。“中途半端”とは、次元が違うと思うのですが、マスコミ時代ですから、 “極端” なのが受けてしまいますね。がんばろっと! できましたら応援のクリックお願いします。
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